箱根旅行記(2022)1日目 その2
2022年6月21日(火曜日)
本日の宿である強羅環翠楼は強羅駅から踏切を渡ってすぐである。
歩いて5分もかからないくらいだったと思う。
看板を通り過ぎると、そこで待ち構えてくださっていたお二人に案内いただき、何だか普通の(ではない、日本風のお屋敷の)お宅の玄関のような入口から迎え入れていただいた。
15時過ぎくらいだったと思う。
フロントで宿泊者カードに記入し、夕食の時間と朝食の時間を決め、そのままお部屋に案内いただいた。
母が「贅沢をしてもいいよ。久しぶりだし。」と言うので、(多分)人生初のお部屋に温泉のついたお部屋を予約している。
「桜の間」というそのお部屋は、廊下から桜の間専用の階段を上がったところにある。
その階段の上がり口に、お部屋についている温泉(内風呂)があった。タイルが風情のある、浴槽が埋め込まれている感じの内風呂で「うわぁ」と思わず声が出る。
階段はつるつるに磨かれていて、逆に危ない。宿のお姉さんも「夜になると暗くてさらに危ないです。この階段を使うのはお二人だけなので、よろしければ階段の下でスリッパを脱いでしまってください」とおっしゃる。
ここで階段から転げ落ちる訳にはいかない。二人ともお勧めに従う。
次の間があり、窓辺には椅子とテーブルが置かれ、そこも畳敷きである。
恐らくは部屋食で出していた頃に使われていたのだろう水屋も扉の外にある。
この「扉」と書いたけれども正確には襖で、かなり無理矢理にくっつけたっぽいネジ式の鍵が付いている。
この鍵がなかなかの難物で、上手く閉められなかったり、上手く閉められないと思って何度も回しすぎてしまい明けるのに手間取ったりして、結局、ほとんど鍵は開けっぱなしにしていた。
貴重品はお部屋備え付けの金庫に入れていたし、まぁ、問題はなかった。
お部屋に用意されていた、湯もちをいただく。
箱根のお土産といえば、やっぱりちもとの湯もちだと思う。何年か前にカフェも併設されて、いつか行ってみたいと思いつつなかなか機会がない。
その湯もちがお部屋に用意されていて凄く嬉しい。お茶を煎れて早速いただく。そんなにたくさん飲む訳でもないのに、お茶の葉がたっぷり用意されているのも、とても嬉しい。
しばし、強羅環翠楼の建物が紹介されている本や、小冊子などを母とそれぞれ眺める。
部屋の外に広がる緑はこのお宿の庭で、元々持っていた土地の半分を皇族の方に売り、そちらは今は強羅花壇になっている、などと書いてあって、ふむふむと頷く。
落ち着いたところで、内湯に行く。この内湯の脱衣場が少し暗くて、「これで夜になったら見えないかもね」と二人して言い合う。
しかし、内湯は上が抜けていて明るい。
ひょうたんの上の小さい方は浅くなっていて、子供用プールくらいの浅さである。
桶と椅子と掛かり湯をするための手桶が全て木製で、こんなところもレトロかつ懐かしい。
お湯は無色透明無臭、だと思う。
加水と循環はなし、消毒ありということだけれど、このお湯は何度なのだろう。熱い。
あっという間に足が赤くなり、「露天にも行ってみようか」と20分ばかりであがった。
強羅環翠楼の露天風呂は、お庭の中にあり、我々の泊まったお部屋のある建物の「内玄関」から出て、いくつかの離れを通り過ぎて歩いて行った先にある。
その「内玄関」にスリッパがあり、女性用のサンダルが減っていたので先客がいらっしゃるようだ。
しばらくは屋根付きの通路があり、屋根が終わるところに貸し出しの傘が置いてある。その傘を差して行ってみたところ、やはりお二人いらした。
注意書きには「2〜3人の先客がいらしたら遠慮を」とあったけれど、4人くらいならそんな「密」にもなるまいということでご一緒させていただく。
内湯よりも露天の方が若干低めの温度になっているようだ。
洗い場はなく、掛かり湯をして入る。
緑が濃くて、風があって、気持ちがいい。
確かこのときは雨が降っていたと思う。露天風呂全体に屋根がかかっているので、雨が降っていても問題ない。
母の方が烏の行水なので、途中から独泉になり、ますますのんびりと浸かってしまう。
内湯と露天と合わせて1時間くらい温泉を堪能し、17時くらいにお部屋に戻ってとにかく涼む。
露天風呂からの帰り道、お庭の通路から我々の泊まっているお部屋が見えることに気がついた。あらら、あまり変な格好をして窓に近寄ってはいけないようだ。
温まりすぎて大汗をかいているので、何とか夕食までに汗を引かせようとがんばる。扇風機はなかったので、ドライヤーを冷風にして扇風機代わりにした。
夕食は18時からでお願いしていた。
テーブルに先附と前菜が用意されている。食前酒が白ワインというのは初めてだ。
このお料理なら日本酒だろうと思ったら、母が「ビールが飲みたい」と言う。生ビールはなく中瓶になりますというお話で、母が飲みきれる訳もないので、付き合うことにした。
とっととビールを飲んで、日本酒を頼んでやろうという心づもりである。
とにかく美味しかったお料理はこんな感じである。
先附
じゅんさい エビ おくら なめこ 酢取り防風
前菜
もずくとろろ 海胆
穴子ゼリー寄せ
姫さざえ煮
もろこしさつま天
川海老
枝豆塩ゆで
合鴨オリーブ
強肴
蒸し鮑 大根 アスパラ 肝ソース
この鮑が絶品で、柔らかく、プリプリしている。
鮑の実の下に敷かれた大根は多分、鮑と一緒に蒸されていて、そのうま味のスープを吸っている。
だから、母よ、これはビールじゃなくて日本酒だってば、とココロの中で半ば叫びつついただく。
久々に一人旅じゃない旅をしていて、食(と酒)に我ながら随分とわがままになっているよ、と反省した。
御椀
鱧 青さ湯葉 椎茸 小メロン 梅肉 木の芽 金箔
実はお椀よりも前に御造りを出していただいていた。
「お刺身には絶対日本酒!」と思っていたのと、御椀を出していただくときに「熱いうちにお召し上がりください」と係の方に強くお勧めいただいて、こちらを先にいただいた。
鱧は骨切りしてあったのだと思うけれど、それにしても全く骨の存在を感じない。何だか凄い。
我が家では小メロンは甘酢漬けにしていただくことが多いので、輪切りにしてお椀の種にするという発想が意外だった。なるほどと思う。
煮物
冬瓜 茄子 しのだ巻き 海老団子 スナップエンドウ 木の芽
こちらも「温かいうちに」とお勧めいただいた。
塩気を抑えて出汁を効かせてあり、そのお出汁を冬瓜や茄子がよくよく吸っている。
美味しい。
この辺りで(テーブルの担当の方に半ば呆れられつつ)ビールを飲みきって、飛白という日本酒を冷酒でお願いした。
御造り
鮪 白身(教えてもらったけど忘れた) 烏賊 太刀魚 妻 芽もの 山葵
このお刺身たちも美味しかった。鮪は脂がのっているし、太刀魚はコリコリほろっとする。
白身のお魚は、見た目よりねっとりしていた記憶だ。
そして、何より美味しかったのが烏賊で、白身のお魚に輪をかけてねっとり甘い烏賊が厚切りされていた。
焼物
鮎塩焼き 沢蟹 青梅 レモン 蓼酢
「このお皿に載っているものは全て食べられます」というのが係の方の口上で、鮎の下に敷かれた葉っぱは「蓼」だという。
実物を見たのは、多分、初めてだし、もちろん食べるのも初めてだ。
この蓼の葉だけ食べてみると、苦い。蓼酢になってしまえば消えてしまっている苦さと刺激を葉っぱは十分に蓄えている、という感じだ。
正直に言えば「好きではないけど食べられはする」というお味だった。
肉料理
ローストビーフ サラダ仕立て
ここに来て、肉料理がいきなり洋風になって驚いた。
お献立の紙に書いてあったから読んではいたけれど、こうしていきなり洋風のお皿がどん! と出てくるとやはり迫力である。
このローストビーフが流石の火の通し加減で、というよりも火が通らないように仕上げてあって、脂が口の中で溶ける感じがした。
御食事
炊き込み御飯茶漬け 浅利 塩昆布
香の物
急須にお出汁が入っていて、係の方のお勧めに従い、まず炊き込みごはんをそのままいただき、次に出汁茶漬けにしていただく。
貝が苦手な私が美味しくてぱくぱく食べてしまうような炊き込みごはんで、それを出汁茶漬けにしちゃうとは何て贅沢なんでしょうと思う。
わさびをたっぷり効かせていただいた。
水菓子
小玉西瓜 ぶどう 水ようかん
スイカもぶどうも、どちらも私には「初物」で美味しかった。
水ようかんに生クリーム? と思ったけれど、小豆が載せてあって一緒に食べるといい感じだ。クリームあんみつってあるものね、と思い直す。
ほうじ茶も入れていただいて、美味しく完食した
食べ終わったら2時間が過ぎていた。
お部屋に戻ったらお布団が敷かれ、雨戸が閉められていた。
この雨戸が木の雨戸である。私が子供の頃の我が家の雨戸もこういう感じの(と言ったら岩崎さんに怒られてしまうかも知れないが)雨戸で、何だか懐かしい。
お布団に転がってごろごろしつつ、テレビを見る。
母はもう完全に寝る態勢である。
もちろん完全に寝る態勢の母にお勧めしたところで「いい」と一言でお断りされ、私が一人でお部屋のお風呂を堪能させてもらうことにした。
22時頃である。
確か、部屋のお風呂は何時まででも入れますという説明だったと思う。
窓を少し開け、風を入れつつ浸かる。
浸かった瞬間、お湯がざばーっと溢れて行くのが贅沢である。
内湯や露天風呂よりも、こちらのお湯が一番ぬるめで、長湯に適温である。30分以上、浸かっていたと思う。
ちなみに、トイレは2階にあるけれど、歯磨きや洗顔をするような洗面台はなく、歯磨きや洗面はお風呂の脱衣場についている流しでやるのが正解、という感じだった。
という訳で、お風呂を堪能した後は歯磨きをする。
お部屋にもどると、母は(どうやったのか不明だけれど)2階で何とか歯磨きをしだそうで、半分寝ていた。
歩数計では大した数字じゃなかったけれど、結構歩いた気分である。
お部屋の電気のスイッチを探すのにちょっと手間取りつつ、23時頃に就寝した。
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