山中温泉旅行記1日目
2023年1月6日(金曜日)
2023年最初の旅行は、母との山中温泉行きである。
昨年の年始に行く計画を立てていて、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大しつつあって旅行を取り止めたため(申し込んでいたプラン自体が中止になってしまった記憶である)、リベンジというつもりもあって同じ行き先を選んだ。
母からずっと「蟹が食べたい」と言われていたということもある。
1日目は、新幹線で金沢まで行き、お昼ごはんを食べてから宿に向かう。二人分の荷物をミラコロに詰めて出発である。
10時前に上野駅を出る北陸新幹線「かがやき」に乗車した。
これまで新幹線乗車駅までSUICAで行き、切符で新幹線の改札を通る際の精算が若干面倒だったので、えきねっとで初めて購入した新幹線eチケットは精算の手間が要らずに便利である。
平日だし、全国旅行割が再開される直前ということもあってか、車内はガラガラだった。
「おしゃべりは控えめに」というアナウンスが繰り返され、車内はシンとしている。
母に「すぐ寝るわね」と毎回呆れられるけれど、眠いものは眠い。そして寝るための環境が整いまくっている。長野辺りまでまたも爆睡した。
母は「景色が見たい」という気持ちもあるらしく、また、天気予報がずっとお天気が崩れると言っていたこともあって、景色というよりは天候を気にしてずっと車窓を見ていたらしい。
飯山辺りで「やっと雪が見られたね」と言い合い、富山まで来て「晴れてるわね! 雪がないのね・・・」となり、正午前に金沢に到着して「青空が見えているよ!」ということになった。
次の電車まで1時間半くらいである。
母に尋ねると「せっかく北陸に来たんだからお魚でしょう!」とおっしゃる。それならばと、金沢駅構内にある百番街魚菜屋 あんと店で昼食をいただいた。
母はお刺身三昧定食、私は本日の10種の海鮮丼をお願いした。
10種が何だったかすでに記憶の彼方だけれど、新鮮で美味しかったことは確かである。
贅沢を言うと、お水ではなくお茶をいただけると嬉しかった。
母が「明日は雨かも知れないし、写真を撮るなら今よ!」と珍しく写真が撮りたいと言い、もてなしドーム方面の出口を出た。
確かに青空である。
もてなしドームと鼓門、そして今の時期の雪吊りが並んでいて、なかなかフォトジェニックだ。
写真を撮ったら、私のカメラで撮るより、母のスマホで撮る方が青空に写っていたのが少々悔しい。最近のスマホの進化と来たら、本当に侮れない。
写真撮影を満喫し、明日の自由席特急券を購入した後、13時過ぎに加賀温泉駅方面に向かう電車のホームに行ったら、ちょうど始発の電車が入線してきたところだった。
いいタイミングである。
2両編成で、13時29分の出発時には満席どころか、満員電車並みの混雑具合になっていた。
1時間弱で加賀温泉駅に到着し、14時半過ぎには、昨日電話で予約していた宿の送迎バスに乗車することができた。
バスの運転手さんによると、北陸新幹線の延伸により、来年には加賀温泉駅に新幹線が停まるようになり、それに伴って今は駅と駅前広場の拡張工事中であるそうだ。
駅前にどどーんと存在感を放っている加賀市美術館もその一環で建てられたのか、言われてみれば真新しい。
バスが向かったのとは反対の日本海側に、デカイ観音様が建っているのが車窓から見えた。
これまた運転手さんのお話によると、今は観音様があるだけだけれど、以前は観音寺ホテルというホテルがあり、観音様もホテルの一部というか持ち物だったらしい。今後どうするか、今、検討されているというお話だった。新幹線開業と同時に復活するのかも知れない。
観音様は高さ73mというから、維持も大変だけれど、壊すのも大変ということなんだろう。
15時過ぎに本日のお宿吉祥やまなかに到着した。
山中温泉の温泉街「ゆげ街道」からは少し奥まったところにある宿である。玄関にはお正月飾りが整えられていて華やかだ。
チェックインし、夕食の時間、朝食の場所と時間、貸切風呂の予約時間などなどを決める。
夕食に「ズワイ蟹会席 紅」をお願いしていたところ、「2時間くらいかかります」というお話で、いつもより早めの18時15分からでお願いする。
貸切のお風呂はすでに予約が埋まりつつあったようで、お勧めの檜のお風呂を選んだところ翌朝ということになった。
お部屋は広々とした和室である。
窓から大聖寺川を見下ろすことができる。鶴仙渓は観光スポットにもなっていて、川にかかる橋からの眺めも良いし、季節には川床が設えられたりもするらしい。
今回は完全に「おこもり」で、温泉街にも渓谷にも出かけなかったのは少し心残りである。
宿を満喫してやろうじゃないかという気概に満ち、チェックインを担当してくださった方のお勧めもあり、館内の鉄板焼きのレストラン「青竹」に行った。
こちらで16時までパンケーキを目の前で焼いていただくことができる。
もちろんカウンター席をお願いする。
供されたのは、プレーンのパンケーキと加賀棒茶のパンケーキである。
フルーツがあしらわれ、粉糖がかけられ、バター、餡、お芋のホイップ、金箔入りのはちみつとメープルシロップが添えられる。
飲み物は、コーヒー・紅茶・加賀棒茶から選ぶことができ、母はコーヒーを、私は加賀棒茶をお願いした。
ミニサイズのパンケーキはふわふわで、ぺろっとあっという間にいただけた。
お部屋に入ってから少し慌ただしくパンケーキに突撃してしまったので、お部屋に戻って食休みを兼ねてのんびりする。
テレビをつけ、館内の案内を読んだり、お茶セットを出してお茶を煎れたりしているとあっという間に時間が経つ。
浴衣に着替え、16時半くらいに温泉に向かった。
この時間帯の女湯は「白鷺の湯」で、露天風呂が川に向かって開放的な造りになっていますということで、湯浴み着が用意されている。
若干、内湯で塩素の匂いを感じたものの、それほど混雑することなく、柔らかいお湯を楽しむことができた。
アメニティやタオルも完備されていて嬉しい。
母はとっとと上がってしまったけれど、お部屋の鍵が2本あるので問題ない。
私は延々と露天風呂を楽しみ、お風呂上がりに、これまた宿の「おもてなし」であるビールをロビーでいただく。風呂上がりのビールほど喉と胃に沁みるものはない気がする。
大浴場からロビーに行く間に色浴衣を選べるスペースが用意されており、自分用に白と黒の猫の模様の浴衣を、母用に臙脂の地に花火の柄の浴衣を選んで持ち帰る。
しかし、この猫の浴衣が、LLサイズで丈はちょうど良かったけれど身幅が異様に狭くて、全然重ならないところが謎だった。この浴衣で裾をはだけずに立ったり座ったり歩いたりするのは至難の業である。タンクトップとレギンスを持ってきて正解だ。
そして、夕食をいただきに館内のレストラン「べにばな」に行った。
テーブルごとに簾(よりおしゃれで豪華)で仕切られており、他のお客さんがいらっしゃることは分かりつつ、お顔やお料理などは分からないという絶妙な設えである。
席に案内していただき、「蟹を食べまくるぞ!」夕食のスタートだ。
食前酒
天狗舞梅酒
八寸
加賀・能登の幸五種盛り合わせ
「五種」が何だったかもはや覚えていない。
松前漬があり、干し柿でクリームチーズを巻いたものがあり、あと何だったか。
お店の方はきちんと一つ一つを説明してくださったのに申し訳ない。食べて飲むのに忙しく、メモも取っていなかったらしい。
蟹をいただくのだからお酒は日本酒でしょうと思い、数馬酒造の「竹葉 しぼりたて生原酒」をお願いした。
母は旅先では大抵ビールを頼んでいるけれど、今回はお酒でいいと言う。そこは、お酒「が」いいと言ってくださいと思いつつ、お猪口を二つお願いする。
こちらではお酒をお願いすると、銘柄を書いた紙をいただけて、もの凄く有り難い。
お造り
ズワイ蟹と日本海の幸盛り合わせ
ここからズワイ蟹の登場である。
とろけるような蟹あしのお刺身で滅茶滅茶美味しかった。
できればこの状態でお腹いっぱい、飽きるまでいただきたいくらいである。
他の海老やイカ、白身のお魚のお刺身も美味しかったけれど、蟹の前では霞んでしまう。
そして、日本酒が進んで困る。
台物
姿ズワイ蟹
一人一匹ずつ、ズワイ蟹が姿のままやってきた。
迫力である。
テーブルの上には「蟹のさばき方」みたいな手順書が置かれていて、かなり親切丁寧である。
なおかつ、テーブルの係のお姉さんに時々助力いただきつつ、甲羅に蟹の身を盛り付けるところまでがんばった。
ちなみに写真の甲羅に盛った蟹の身は2回目分である。
「もう蟹はしばらく食べなくて良いです」という贅沢なことを言いたくなるくらい、蟹の身を取り出し、ほぐしまくった。
必死になりすぎて、頭がオーバーヒートした。
そして、もちろん、たっぷりの蟹の身は美味しかった。
焼物
黒毛和牛朴葉焼き
さらに贅沢なことを言うと、お刺身やズワイ蟹三昧をした後のお肉は、もの凄く美味しく感じた。
お肉って本当に美味しいんだわ、としみじみした。
淡泊といえば淡泊なお刺身や蟹の身の後の肉の脂は強烈かつ強力である。凄い。
蟹と牛肉パワーにあおられてお酒も進み、ここで次のお酒をお願いした。
こちらでは「ちょこっと飲み」だったか、45ml(お猪口一杯)で日本酒をお願いできるのだ。
酒蔵加越の「加賀の月 月光 純米大吟醸」をお願いした。
蒸し物
ズワイ蟹蒸籠蒸し
そして再び蟹とまみえた。
先ほどの姿の蟹は茹でており、今回出てきた蟹はその場で蒸籠蒸しで仕上げられた。
もはや日本酒と蟹とにノックアウトされ、オーバーヒートした頭では、茹で蟹と蒸し蟹の違いが判別できない。
とにかく蟹であることと美味しいことは確かである。
揚げ物
ズワイ蟹と海老と加賀野菜の天婦羅
5種類のお塩が用意されていて、梅塩、抹茶塩、カレー塩、プレーン(?)のお塩と、あと1種類は何だったろうか。
楽しい。
さらに、天ぷらの追加注文をすることができる。
天ぷら食べ放題だ。しかし、この食べ放題を満喫できる人がどれくらいいるのだろう。
鰤や水蛸、卵だったか半熟卵だったかの天ぷらがもの凄く気になったけれど、お腹はすでに一杯で、泣く泣く諦める。
食事
ズワイ蟹ご飯 赤出汁 香の物
ここまで徹底されると天晴れである。ごはんもズワイ蟹の混ぜごはんだった(多分、炊き込みごはんではないと思う)。
赤出汁のお味噌汁と、お新香が嬉しい。
ごはんを軽めによそっていただき、完食した。
デザート
季節の果実を含む三種盛り合わせ
もう1回、お茶も替えていただき、ラズベリーのムース、アップルタルト、メロンのデザートをいただいた。
あんなにお腹いっぱいだったのにデザートはぺろっといただけてしまう。毎度のことながら謎である。
2時間15分かけてゆっくりじっくりたっぷり美味しくいただいた。
その後、ショップなどを見ていたらあっという間に時間が経ち、20時45分からの「山中節の夕べ」を楽しむべく、ロビーのソファに陣取った。
併せて、サービスの「KAGAプリン」とコーヒーもいただくことにする。
温泉街の山中座に出演していらっしゃる芸妓さんの三味線と歌は哀愁が漂っていた。
マイクの性能が今ひとつで、色々と説明してくださった内容がちゃんと聞き取れなかったのが残念である。
お部屋に戻って一休みし、母が「私はいいわ」と言うので、22時過ぎに一人で再び温泉に行った。
今日の夜中までは、白鷺の湯が女湯である。
独泉だ。嬉しい。
夕方に入ったときよりもすぐに温まる感じがあって、内湯と露天風呂と15分くらいでさっくりと楽しみ、むしろ置いてあったやたらと高機能のマッサージチェアも空いていたので堪能させてもらった。
ついでに、湯上がりのアイスキャンデーもいただく。やっぱり甘い物は別腹である。
お部屋に用意されていたアロマポットでオイルを香らせ、浴衣とは別に用意されていたナイトウエアに着替えて、23時頃に就寝した。
夕方に温泉に入っていたときに、小学生くらいの女の子がお母さんらしき女性に「このホテル、気が利きすぎてるね」と言っていて思わず苦笑してしまったけれど、本当に気が利いているお宿である。
-> 山中温泉旅行記2日目
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 有馬温泉旅行記2日目その2(2023.12.07)
- プロフィール写真を変える(有馬温泉)(2023.12.04)
- 次の旅計画(国内編 覚え書き その19)を考える(2023.12.02)
- 有馬温泉旅行記2日目その1(2023.12.03)
- 有馬温泉旅行記1日目その2(2023.11.26)
「*202301山中温泉の始末」カテゴリの記事
- 山中温泉旅行記の入口を作る(2023.02.27)
- プロフィール写真を変える(山中温泉)(2023.02.25)
- 山中温泉旅行記2日目(2023.02.26)
- 山中温泉旅行記1日目(2023.02.05)
- 無事、帰宅する(山中温泉)(2023.01.07)
コメント