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2024.08.04

奥日光旅行記(2024)1日目その2

2024年7月21日(日曜日)

温泉寺参道温泉寺参道 14時40分頃、湯元温泉のバス停に到着した。終点である。
 宿のチェックインは15時で少し時間があるし、何よりそのつもりで中宮祠で温泉寺の御朱印をいただいており、お参りしないわけには行かない! と温泉寺に向かった。
 温泉寺の参道は石灯籠がずらっと並び、両脇の森には不思議な感じの草が生えている。
 中禅寺湖半より標高が300mくらい上がっており、さらにもう一声涼しい。

 温泉寺はすぐ隣が湯元温泉の源泉で、薬師湯という日帰り湯があることで有名で、歩いて行くと湯上がりに涼んでいるらしい方の姿も見えた。
 母が日帰り湯を厭うので、目的はお参りと写経である。

温泉寺本堂 温泉寺の本堂でまずはお参りする。ご本尊は薬師瑠璃光如来という何というか綺羅綺羅しいお名前の仏様である。
 本堂の中に写経の受付はあるものの無人だ。
 「あんただけやりなさい」という母を強引に説き伏せ、日帰り湯の受付で声を掛ける。日帰り湯の受付の方が本堂の方に移動してきて、こちらの受付もしてくださるようだ。

 温泉寺での写経は、薬師経十二大願の第十願の一節である「以我福徳 威神力故 皆得解説 一切憂苦(いがふくとく いじんりきこ かいどくげだつ いっさいうく)」の十六文字を写す。
 筆ペンをお借りし、薄く印刷された文字をゆっくりなぞってゆく。
 なぞっているのに綺麗に書けないのはどうしたことか。我ながら謎だ。
 写経し、「願いごと」を書き、日付と名前を記す。
 写経したものは年1回、8月8日に行われる薬師講のお焚き上げをしていただける。また、特別な御朱印をいただくことができる。

 ちなみに、温泉寺では写経の他に写仏の体験もすることができる。
 写経と写仏ではいただける御朱印の紙の色が異なっていて、「母と手分けして写経と写仏をすれば、違う御朱印が手に入ったのに!」と思い、「いや、そういうことではない」と思い直した。
 カワラケ割りをし、おみくじを引き、写経をした。私の厄落としは万全ではなかろうか。欲張ってはならない。

 写経しているときから、子供たちの声が聞こえていた。
 学校行事なのか、一緒にいる大人が来ているポロシャツに「NPO」の文字が見えたから民間団体主催のサマーキャンプ的なものなのか、小学生がスタンプラリーをしていた。
 久しぶりに子供たちの元気な声を聞いたなーと思う。なかなか微笑ましい。

 そのまま源泉に向かって歩いて行くと、こちらにも子供達が回ってきていた。
 母は温泉寺には来たことがあるが、源泉には来たことがなかった、と言う。
 足下からぼこぼこと温泉が沸いており、湯小屋が並んでいる。足下にはすのこのような木道が作られていて、すぐそばで見ることができる。

 そういえば、源泉のところで、一組だけ外国人観光客の方を見かけた。
 バスの中から見た日光市街、中禅寺温泉を歩いているときもほとんど見かけなかったので、「湯元温泉で見かけるとは!」と少し驚いた。
 逆に、世界遺産だし、もっともっと外国人観光客で溢れているかと思っていたので、ほとんど見かけていないことを不思議にも思う。

源泉源泉

 ぽこぽこ湧く源泉を見られたことに満足し、散策を終えて本日の宿である湯元 板屋にチェックインした。
 夕食は18時からまたは19時15分から選ぶことができ、母に聞くと「19時15分」と言う。「大河ドラマ見られないけどいいの?」と一応確認し、19時15分でお願いした。
 お部屋にご案内いただくと、大浴場から近い場所で有り難い。
 「お向かいのお宿に今日は小学生の団体が泊まるそうで賑やかだったらすみません」とおっしゃっていただく。結果としては、ほとんど声が聞こえることはなく、全く気にならなかった。
 また、廊下の窓から見えるところに鹿の親子がいることがあるので、たまに覗いて見てくださいとおっしゃる。

 また、お宿の方から「クーラーがなくて。暑かったら扇風機とうちわで涼を取ってください」と案内があった。
 この日は最高気温30度くらいあったと思うけれど、そもそも日光湯元でここまで気温が上がることはまず滅多にないのだと思う。「短い、本当にいい季節」ともおっしゃっていた。
 窓を開けて風を入れれば十分に過ごしやすいくらいの気候で、これから日も落ちて涼しくなる時間帯で全く問題ない。

20240721_151718-2 お部屋のお茶菓子は虎彦製菓の「きぬの清流」だった。ザ・定番、という感じだ。
 ティーバッグではなく茶筒にお茶っ葉が用意されているのが嬉しいと思いつつ、お茶を入れてお菓子を食べ、一息入れる。
 夕食の時間を遅めにしたので、時間がたっぷりある。
 軽く荷物を整理した後、そのまま畳に座布団を並べ、30分くらい昼寝した。爆睡だ。
 こういう昼寝はかなり気持ちいい。

 一眠りした後、温泉に行った。
 温泉分析書の泉質には「含硫黄−カルシウム・ナトリウム−硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)」と書いてあった。正直なところ、意味は分からないけれど、何となく効きそうである。
 板屋の温泉は、自家源泉だそうだ。もちろん、掛け流しである。

 入浴されていた方(多分、日帰り入浴の方)と入れ違いになり、母と二人で貸切状態だったのが嬉しい。
 お湯の色はミルキーブルーで、硫黄の匂いが強い。
 内湯は熱め、露天風呂の方が外気にさらされている分なのか、ちょっと温めである。
 気持ちいい。
 明るいうちから浸かる温泉は、非日常感たっぷりで嬉しい。至福である。

大浴場露天風呂

 ここのところ体力が落ちているので、大事を取って少し短めの時間で上がった。
 湯上がり処には、冷水と麦茶が用意されていて嬉しい。
 以前に来たときはマッサージチェアがあった記憶だけれど、今回は割と新しい感じのフットマッサージャーが設置されていた。
 そういえば、チェックインのときにお部屋の鍵を2本いただいた。大抵の場合は、母が私よりずっと早く上がるので、鍵を別々に持てるのは有り難い。

 温泉に入ると上がった後で汗が吹き出して止まらないことが多いけれど、今回は意外とすんなりと汗が引いた。不思議だ。
 意外と時間が余ってしまい、そのまま1時間くらいうたた寝をした。
 自分で選んだのに母が「お腹が空いた」「ヒマだ」と言い続けていたのは覚えている。北千住駅で購入していた雑誌の出番である。

誉 19時過ぎに電話が入り、お食事処に行った。
 和室がいくつもあって襖でしきられており、我々のお部屋は小さい子のいらっしゃるご家族連れと同じお部屋で衝立で仕切られていた。
 母はビールを頼み、私はいくつも用意されていた栃木の地酒の中からここは地元中の地元のものにしようと「日光誉」の純米酒をお願いした。180mlなら飲み切れるだろうし、飲みきれなかったら持ち帰っても良いのが嬉しい。

 食前酒の山ぶどう酒で母と「お疲れ様」の乾杯をし、早速いただく。

先付け もろきゅう とうもろこし
小鉢 桜海老・胡瓜・わかめの酢の物 防風

 防風って何? と思ったら、左手前の葉っぱの野菜の名前だそうだ。もしかしたら生まれて初めて食べたかも知れないが味は覚えていない。

先付小鉢

お造り 生湯波 鰹
お吸物 栃木、季節の土瓶蒸し(いっこく野州どりと夏野菜)ブールジャポネと天然海塩にて

 お吸い物に付いて来たバター(柚子とパセリだったか、柚子と紫蘇だったかが入っている)は、最後に出てくるとうもろこしご飯に載せて食べるのもお勧め、と教えていただいた。
 もちろん、お吸い物に塩とともに加えていただいても風味が変わって美味しい。

お造りお吸物

焼き物 鮎塩焼き(蓼酢にて)
冷やし鉢 日光ひみつ豚冷しゃぶ 和だしのガスパッチョ仕立て

 ガスパッチョ仕立てなので、トマトスープである。トマトが苦手だったらポン酢でもお出しできますとお品書きに書いてあった。
 「日光ひみつ豚」というのは割とあちこちで見かけたので、ここでいただけて嬉しい。

焼き物冷やし鉢

揚げ物 揚げそばがき・しし唐 みぞれ和え
せいろご飯 とうもろこしご飯
香の物 参点盛
止め椀 あおさ・手鞠麩

 揚げたそばがきも生まれて初めて食べたと思う。ちょっとぼそぼそした感じが残っていて、意外な食感だった。
 とうもろこしご飯は甘くて美味しい。このままいただき、次に先ほど残しておいたバターを載せて混ぜていただいた。

揚げ物食事

デザート ほうじ茶ブラマンジェ

 ほうじ茶のゼリーが載っていて、かつほうじ茶の粉末が散らされている。この二つの味が濃く、ブラマンジェの優しい味のアクセントになっていた。

デザート

 1時間半弱かけて夕食をいただいた。美味しかった。もうお腹いっぱいだし、相当の酔っ払いである。
 お部屋に戻るとお布団が敷かれていた。何だかちょっと懐かしい感じがする。
 1時間半くらいテレビを見ながらごろごろし、母は「もういいわ」と言うので一人で温泉に浸かりに行った。
 ちょうど母と同年配の方がいらして、6月の奥日光は、千手ヶ浜のクリンソウも綺麗だし、日光湯元に向かう道筋の両側に咲くズミも綺麗だとお勧めいただいた。そういえば、今回、お花の写真をほぼ撮っていない。お花の綺麗な時期は心惹かれる。

 奥日光お勧めの時期のお話の他、ご夫婦の話やお友達のお話まで色々なお話を伺った。我ながら模範的な傾聴精神である。
 うっかり傾聴しすぎて「のぼせそうなのでそろそろ」と言うタイミングを10回くらい逃してしまい、外はかなり涼しくなっていたにもかかわらず、本当にのぼせそうになった。
 湯上がり処の麦茶を美味しくいただき、フットマッサージャーも一通り試して休憩してから部屋に戻ったら、母はもう寝る準備を万端整えて、電気まで消している。
 23時過ぎに就寝した。

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