2013年12月28日19時30分からNHK BSプレミアムで放映された、の堤真一×神秘の熊スピリットベア〜カナダ 聖なる森をゆく〜を見た。
カナダ北西部に広がる「グレート・ベア・レインフォレスト」を堤真一がギットガット族の父子と行き、スピリット・ベアと呼ばれる白い熊を追い求めるという番組だ。
という触れ込みだったと思うのだけれど、実際見てみたらちょっと趣が違う。
ギットガット族のお父さんは、スピリットベアを守るためには秘密にしておくのではなく保護しようという人々の協力が必要だと考えた長に託され、もう何年もスピリットベアを探し、出会い、観察を続けて来ているようだ。
その息子のネルソン君(8歳)も一緒に海を行き、森を歩き、赤ちゃんの頃から森や熊を身近に感じて育ってきているらしい。
彼らに会えたところで「スピリットベアは幻の熊」という大前提は崩れている。
それでももちろん「必ず出会える」訳ではないし、初めてスピリットベアを海上から見つけたときの堤真一の感動は伝わってきたように思う。
そして、森の中で本当に近くで出会えたときのその近さはびっくりである。
もっとびっくりなのは、ほんの数メートル先に熊がいるのに、悠々と岩の上でお昼寝をしていたネルソン君だ。
スピリットベアは白い熊なので、目の位置がすぐ判るし表情も判る。だから人間の側もゆったり構えて見るし、熊の方も落ち着いている。
一方、ブラックベアは目が黒い毛に同化してしまっていて、人間はつい目を覗き込むようにしてしまい、そうすると相手の熊も身構えてにらみ返すようなことになり、場に緊張感が生まれるそうだ。
そのブラックベアとスピリットベアが実は同じ「熊」で、毛の色を伝える遺伝子の組み合わせで、黒い方が優性遺伝子なので、白いスピリットベアは数が少ないということらしい。
それは、ギットガット族に伝わる「氷河時代のことを忘れないように、この世界を作ったワタリガラスが、黒熊10頭につき白熊1頭が生まれるようにした」という伝説ともマッチする。
最後に、堤真一は、スカン・グアイに向かう。熊が人の子を抱えた意匠のトーテムポールがそこにはあるのだ。
半年前に行ったその場所が懐かしい。
そして「立ち去りがたい」と表現していた筒井真一の気持ちがとてよく判るような気がしたのだった。
この旅は何月のことだったのだろう。それほど重装備ではなさそうだったから、夏なのは間違いない。
革を埋め尽くすような鮭の遡上、ブラックベアにスピリットベア、ザトウクジラなどたくさんの生き物と出会えた様子がとても羨ましかった。